当初は、自分たちが寝ている姿を撮影しようと試みていた。配偶者の罪を認めさせる以前に、ぽろちも己の寝ている姿がどのようなものなのか興味があったし、 人生で一度くらいは己の寝相をカメラに収めても悪くないだろう、と思ったのだ。
しかし、撮影は困難だった。暗闇の中を長時間撮影できる、ハイテクなカメラを持っていない。電気を点けたまま寝入り2時間程度の撮影をしようかと思ったが、あらゆる状況でも一瞬で眠れる配偶者とは違い、ぽろちは環境が変わると眠れなくなる。電気が点いたままは、以ての外だ。
何としても配偶者に、己の大罪を認めさせたい。色々調査して考慮した結果、撮影は厳しいが、録音は何とかなるのではないか、と思った。幸い寝言を録音するアプリがそれなりに配信されていたので、物は試しにインストールして早速試したのが、3ヶ月前のことである。
この3ヶ月、配偶者は毎日毎日飽きもせず、あらゆる寝言でぽろちを楽しませてくれた。再生ボタンを押すと、何かしら配偶者の意味不明な寝言が録音されているのだ。まず、漫画でもないのに、「ムニャムニャ…」と言いながら寝る人がいるのか…と驚いた。「中国に説明しないと…」「やだむり、抱けない」「誕生日パーティーに呼ばれたよ」など。突然の「わはははは!」という大爆笑で寝ているぽろちを起こす、ということもよくある。
ちなみにぽろちはというと、寝言は一切入っておらず、ただひたすら唸っているだけであった。
いかにぽろちに迷惑をかけているかをやっと認識した配偶者。しかし、あろうことか、「寝ている時のことなんか知らないよ」などと、無罪を訴える始末。今の所ぽろちは、泣き寝入るしか術がない。
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