ミッション・インポッシブル!

仕事が終わった配偶者が自分のフラットの前まで帰ってくると、フラットの玄関によぼよぼのおばあさんと小さいわんちゃん2匹が立ちはだかっており、配偶者の方じっと見ていた…。

(こちらのサイトから画像を頂きました)

これは避けて通れないな…。と、配偶者は思い、こちらから挨拶でもしようかとした瞬間、おばあさんがいきなり早口で話かけてきた。入れ歯が入っていないおばあさんは、スコットランド訛りと思われる英語で一気に捲し立ててきた。その訛りの強い英語に悪戦苦闘しながら事情を聞くと、どうやらおばあさんは、うちの隣のフラットに1人で住んでることがわかった。そして不幸にも、鍵を持たずに自分のフラットから外へ出てしまい、ドアがオートロック(かなり旧式)のため閉め出されてしまったというのだ。


これは厄介だ。仕事帰りで疲れている配偶者だったが、事情を聞いてしまった今、おばあさんのことを無下にはできない。おばあさん曰く、おばあさんの部屋のドアは開いているらしい。しかし、この建物の玄関がオートロックのため入れないのだ、と言う。

それなら、同じ建物の人に助けを求めればいいのでは?と思い、配偶者は提案するも、「この建物に住んでいるのは自分だけなの…」と頭に手を当てながら嘆き始めた。「不動産屋に連絡するのは?」と聞くも、不動産屋の連絡先が不明。「もう打つ手がないのよ…」と2人+2匹が、建物の前でぼーっと立ち尽くしているわけである。困った配偶者がだったが、突然おばあさんが配偶者の手を引き、建物の裏へと連れて行った。

高さ、約2メートル。おばあさんはうっすらと窓が開いた部屋を指差して、「あそこが自分の家なの。窓を壊してもいいから、入り込んで内側からドアを開けてくれないかしら?」と何とも乱暴なお願いを配偶者にしてきたのだ。正直、無理。え…無理でしょ?普通に無理でしょ?いくら頼まれたからといって窓から入るとか無謀すぎるし危険だし怪我したら終わりでしょ…。躊躇し思わず逃げ出そうとした配偶者の目に写ったのは、配偶者の足下でうるうるした目でこちらを見ているわんちゃん2匹…。

配偶者は、しかたなく決意した。あの窓の隙間から進入することを。こういうときは無理にでもテンションを上げていかないとダメなので、テーマソングにミッションインポッシブルを設定。かばんと上着を置き、パイプを伝って窓のさんによじ上る。下では応援しているのかは不明だが、わんちゃんがキャンキャン!と鳴いている。上下スライド式の古めかしい窓を力一杯開けると、なんとか配偶者がくぐり抜けられそうな隙間ができた。その隙間から家の中に入ると、部屋中が汚くて足の踏み場も無い程の悲惨さだった。

なんとか汚い部屋から抜け出して、玄関に急ぐ。そして、おばあさんとわんちゃんを招き入れた。その瞬間、おばあさんとわんちゃんから歓声が上がった。おばあさんは「本当にどうもありがとう。いくら渡せばいいかしら?」と言い出したので、配偶者が断ると、「では、ワインをプレゼントしましょう。赤ワインがいいかしら?」と何度も言うので、恐縮しながら名前と住所を伝えて、解散した。


それから、仕事から帰る度に、おばあさんの家を見上げては窓から顔を出している2匹のわんちゃんに手を振って挨拶するようになった。その度に、今日はワインが家に届けられているだろうか…と少し期待して自宅に帰るが、一向にワインが届く気配がない。一体どうしたのか…思っていた所、つい最近、散歩中のおばあさんとわんちゃんにばったり再会。その時、おばあさんは驚くべき一言を発したのだ。


「はじめまして。あなた、最近引っ越してきたの?」

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スコットランドのエディンバラ在住の夫婦、ぽろちと配偶者です。 エディンバラでの生活などを中心に紹介しています。 趣味はポテトを食べる事です。